トップ / 写真が苦手な人にこそ撮ってもらいたい写真館
スマートフォンのカメラが進化して、誰でも気軽にそしてキレイな写真を撮れるようになりました。どこでもサッと撮れて、そしてSNSに一瞬で写真をアップして全世界の人に見てもらう。もう当たり前の光景かもしれませんね。
そこで改めて聞きたいのが、皆さんは写真って好きですか?
実は、撮られることに苦手意識がある方も多いんじゃないかなって思います。ぼくはこれまでたくさんの企業やお店を取材してもきましたが、撮られることに対して抵抗がないという方は少なかったです。ほとんどの方は緊張して顔がこわばってしまったり、自分の写真はあまり見たくないと避ける方もいらっしゃいました。
実は、ぼくも同じ。
だから、取材中も心の中では「その気持ちとてもよく分かります」と思っていて、できるだけリラックスできるよう場づくりにつとめるのですが、昔からカメラで写真を撮ることも、撮られることもほんとうに苦手で、昔の写真なんてほとんど残っていません。大げさかもしれませんが、自分がもし死んでも誰かが想い出に浸ってくれるような記録は、あまり残ってないんじゃないかなって思います。
そんな自分が自分でステキだなと思える写真を昨年撮ってもらいました。
「旅する写真館」という活動しているひかり写真館の竹内さんが、ご家族でふらっと伝所鳩にやってきたのは、今から一年ほど前のことです。
ひかり写真館は、特定の拠点を持たず、各地のギャラリーや店舗で開催している写真館で、そのときのご縁から今年の春に、伝所鳩でも写真館を開催してもらうことになりました。ぼくが撮影してもらったのはそのテスト撮影。
竹内さんは、モノクロのフィルムカメラを使って撮影をしています。いわゆる白黒写真で、色による時代背景が感じられず、何年、何十年経っても色褪せることがないというのが、モノクロの良さかなと思うのですが、写真が苦手な自分はモノクロならごかませるんじゃないかとやや抵抗が少なかったのが、今回撮影をしてもらった決め手でした。でも、やっぱり撮られている最中は苦手だなぁとか、出来上がっても直視できそうにないかもと不安を抱えていたのも正直なところ。
フィルム写真は当然ながらその場では出来上がらないので、出来上がりは撮影した日からしばらくして。数ヶ月経ってから郵送で届くのですが、すぐには見ることがやはりできず、妻に先にチェックしてもらってから、おそるおそる確認。
まあもうこの流れならだいたい予想はつくと思いますが、良かったんです。純粋に。自分の写真なのに、とてもいいというのが一番最初の感想でした。
もちろん決してモデルがいいとかそういうことではなく、とても自然な表情の自分がそこにはいて、そして竹内さんとの会話も楽しくて、あのときあの場の雰囲気も写真にはおさめられていて、いつも目を背けてきた自分の写真が、何度も見たい写真になった瞬間でした。そしてなにより、デジタルでパソコンやスマートフォンの画面で見る写真とは違い、しっかりと紙に手焼きされた写真を自分の手で持ったときの感動と、写真の持つパワーのようなものを感じました。
ということで、詳しい日程は追ってご案内となりますが、今年の春、暖かくなってきた頃に、もう一度竹内さんに伝所鳩へお越しいただき「旅する写真館」として、今度は伝所鳩のお客さまの写真をこの場所で撮影をしてもらいます。
改めて写真を撮るというのは、どうしても記念日や特別なことのように思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。たまたまタイミングが合えば撮りに来てもらえたらいいと思いますし、そうして撮影した日がきっと特別な記念日になるはずです。
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