スーパーでもコンビニでも買えるお酒。わざわざ酒屋に買いに行くというのは、ちょっと面倒だと感じられる方も多いかもしれません。普段の買い物のついでにお酒を買うなら断然スーパーが便利だし、ネットならボタンを押すだけ。雨の日も雪の日も重たいお酒が自宅まで届きます。

そんな便利な時代に、敢えてお酒だけを買いに酒屋にわざわざやって来る人たちがいるというのは、ちょっとおもしろいです。どんな人なんだろう、酒屋にどんな魅力があるんだろうと、町の酒屋さんの存在が気になってきませんか？

そんな町の酒屋のお話です。

伝所鳩から徒歩5分ほどのところにある、酒屋「良酒市場 さけぞう」さん。昭和40年頃に始まり、今の場所にお店が移動したのは平成9年頃と聞いています。スーパーのような存在感のある建物は、地元の人にとっては馴染みの建物です。

特徴は、豊富なラインナップからお酒が選べること。特に、地酒はスーパーにはないものも多く、さらに蔵から直送されてくる季節ごとの旬のお酒は、量り売り形式。その場で樽から瓶に直接注いでもらえる鮮度抜群のお酒です。一度飲むとその味の違いに驚いて、他の日本酒が飲めなくなるほど。年に4回お酒が変わるので、季節の移り変わりとともにやってくるのも楽しみの一つです。

ただ、酒屋にやってくるお客さんのほとんどがこういった地酒を求める方かというと、実はそこまで多い印象ではありません。いわゆる一般的なスーパーで買えるお酒を求めるお客さんも多いのですが、専門店ならではの良さは、丁寧なポップの説明で、一つ一つのお酒に説明が書いてあること。専門店と聞くとハードルが高いように感じるのですが、お酒に詳しくない方にも買いやすい配慮がなされていて、むしろお酒の知識がない方にこそ行ってもらいたいのが酒屋。

ポップだけで分からなければ、お店の方へ相談するのもおすすめです。お酒選びのお手伝いをしてくれるのも、酒屋の魅力。人に贈るお酒なら好みを相談するのもいいですし、入荷して欲しいお酒をお願いするのもいいでしょう。それこそが本来のお買い物の楽しさだと思います。

重たいお酒を持ち帰るのが大変なら、郵送もしてくれますし、町内であれば配達もしてくれます。コンビニやネットとはまた違った形での昔ながらのサービスが残っているのも酒屋です。

しかしながら、金物屋はホームセンターに、電気屋は家電量販店に、肉屋や魚屋、豆腐屋、酒屋はスーパーにと、時代とともにお店は別の形に変わっています。商品を大量に仕入れ安くで販売する量販店は、お客さんにとっては安く効率的にお買い物ができる存在。ものを買うだけならそれで十分という人も多いでしょう。量販店にとってかわっていくのも仕方のないことだと思います。

でも、多少不便でも売り手の顔が見え、そして買い物をただの作業とするのではなく、体験にするなら酒屋のような専門店、おすすめですよ。ぜひ行ってみてください。