トップ / どこの地域にもある田舎の空き家のお話し

田舎の空き家

移住者がたとえ増えていても、高齢化社会では亡くなる人の数の方が多いのが田舎の現実。空き家はどんどん増えていき、住んでいるとあまり感じないですが、たまに帰省して来る人たちは空き家の存在で町がさみしくなったなぁと感じているはずです。

伝所鳩の建物も、祖父が住む家でしたが、長らく空き家でした。そこをお店として蘇らせ、再び人が出入りすることで日に日に建物が生き返っていきました。こんな風に、近所でも若い人たちが空き家に移り住んだり、お店をはじめたりして古い家に再び明かりが灯るパターンがありますが、実はそれはごくごくわずか。

空き家のまま放置されていたり、解体されている家の方がほとんどです。

僕らが日高町に住み始めた頃から、近所に気になる空き家がありました。キレイに手入れをされていて、いつ誰が手をかけているんだろう、とずっと気になっていました。

今から2年ほど前のGW。お店の前で作業していた僕らに、一人のおじいさんが声をかけてくれました。その家の持ち主だと名乗るその方は、滋賀県に住んでいて、ご両親が亡くなった後は空き家になってしまい、定期的に手入れしに帰って来ているんだそう。この日もまさにそのタイミングでした。

田舎の空き家はこのケースが結構あります。住んでいないけど手放したくないから手入れだけする。または管理を頼んでいる。手放したくない理由は、想い入れがあったり、いつか田舎に帰ってくるかもしれない、もしくは相続の関係で売りにくかったりと理由はさまざま。

声をかけてくれたおじいさんも、生まれ育った想い入れのある家を手放したくなかったそう。でも、ずっと手入れをし続けるのも難しい。そこで、近々手放す予定で今は家の中のものを処分しているそう。

よかったら家の中で使えそうものがないか見に来ますか?と言ってもらい、お邪魔させてもらうことに。家の中には、まだまだたくさんの荷物が残されていて、これを一人で片付けるのは大変だろうと思い、一緒に手伝うことに。重いものを運び出したり、ごみ処理センターまでゴミを運んだり。使えるものは伝所鳩で引き継がせてもらい、一部のテーブルや椅子は今もお店で活躍しています。

そんなことをしているうちに、倍くらい歳の離れた大先輩とすっかり意気投合し、帰ってくるたびに嬉しそうに滋賀のお土産を持ってきてくれるようになりました。僕らも遠い親戚が会いに来てくれるかのような存在になり、いつの間にかGWやお盆がやってくると、その家の明かりが灯るのが楽しみになりました。

でも、家の中の荷物が少しずつ片付いていくと、この人はもう日高町に帰って来る理由が無くなってしまうんだなぁと、ちょっとさみしさを感じた頃には、いよいよ荷物はすっかり無くなり、建物は売りに出されることに。

滋賀のお土産

しばらくして、久しぶりに現れたおじいさんは、おかげさまで売れましたと報告しにきてくれて、最後の挨拶といつものお土産を持ってきてくれました。

この地を進学のために離れていく若い人たちは多い。僕もその一人でした。でも、親がもういなくなったから。別に住む場所を見つけたから。そんな理由から地元を整理して出ていく人に出会ったのは、これが初めてかもしれません。

この先、空き家はどんどん増えていくし、こういうケースで実家を手放していく人は増えていくはずです。地元に縛られる必要はないし、もっと住み良い場所が見つかったならそれが一番ですが、もし想い入れのある場所を残したいと思うなら、自分で住んで守り続けるしかないんだろうなと思います。

家は無くなっちゃったけど、滋賀でまた会う約束をしたのでいつか会いに行きたいな。空き家が繋いでくれた不思議な関係でした。

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