トップ / 体験を提供し続けられるお店でありたい/伝所鳩のお便り(58)
7月5日(火)定休日です。
日高町は降ったり止んだりの変わりやすい天気。読めないです。読めないのが日高町です。
現在、伝所鳩では福岡県柳川にある椛島氷菓さんのアイスキャンデーを秋ごろまで販売しているのですが、お店の前のベンチで食べて行ってくださるお客さまも多く、これまでになかったほのぼのとしたこの光景がとてもいいなと、営業しながらいつも微笑ましく眺めています。昔は駄菓子屋さんの前でよくあった光景ですが、今はこんな「体験」も少なくなったように思います。
伝所鳩がオープンして1年半と少し。お店はお客さまがいなくても開けなければならないですし、寒ければ暖かく、暑ければ涼しくもしなければなりません。そのため最初の頃、一日の売り上げが光熱費の方が高い日も結構ありましたが、ようやく少しずつお客さまの数も売り上げも増えてきました。しかしながら、そうでない日もやはりあります。ありがたいことにゼロの日はまだないのですが、それに近い日もあったりして、日々お店のおもしろさと難しさの両方を感じています。
お客さまが増えなかったり、来ていただけないとなれば、ネットで販売するというのは今の時代には自然な流れかもしれません。伝所鳩でもネット販売を積極的に行っていて、そちらに注力する方が売上や経費など効率を考えると断然いいですし、人通りのない田舎のお店では最初からネットをメインに商売されているところも多いかもしれません。
しかしながら、僕らがやりたいのはそういうことではないし、地域やその地域で暮らす人にとって、ネットを中心に商売しているお店があることが嬉しいかと言うとそうではないように思います。わざわざ遠方からここまで足を運んで来て下さる方がいて、そしてさらにこの地域を巡ってもらう。地元の方にも「ここにお店があってよかった」と思ってもらえる。お店はそんな場所であってほしいし、そうありたいなとも思います。
伝所鳩が開催している企画展やイベント、ポップアップショップは、どれも途方もない労力の割には利益がとても少ないものばかりです。下手したら赤字になってしまうものもあったりするのですが、しかしながらこれらはネットにはない体験の一つであり、そしてモノやコトとしっかりと向き合うための時間であり機会です。この地域にとってそういう体験というものは少なく、町をあげた大きなイベントではなく、小さなお店単位で当たり前に行われているということに意味があると考えています。
2022年に伝所鳩で開催してきたイベントの数は、既に20個にもなりました。今年一年はこのペースをできるだけ崩さずに続けていく予定なので、気になるものがあればぜひ見に来てくださいね。イベントごとにお客さまの層も少し変わったりしますが、毎回欠かさず足を運んで下さるお客さまもいて、ほんとうにありがたいです。
日高町には、演劇のための劇場もでき、気軽に演劇が見られるようになりましたが、それもまた一つの体験です。形は違えどそんな「体験」がこの町にはもっと増えていくといいですよね。
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