トップ / 自分たちのまちの課題は自分たちで向き合う
今週より始まった福祉プロジェクト「すみのわ展」。展示・販売をしている商品は、福祉作業所で働く方々の手によって作られているのですが、これらの商品には地域に住む多くのクリエイターたちが関わり、一緒に商品づくりが行われています。
それでは、なぜこの地域では、地元のクリエイターが地域に関わる取り組みに参加し、連携したものづくりができているのでしょう。少しご説明します。
皆さんの町には、クリエイターと呼ばれる人はいますか?または、そういった方々に仕事を依頼したい場合、どのようにして探しますか?
チラシや名刺、ロゴやウェブサイトを作ってほしい、写真や動画を撮影してほしい、看板や店舗設計をしてほしいといった場合に、なかなか地元のクリエイターと出会う機会が少ないかと思います。そもそも地方の人口の少ない町になると、クリエイターと呼ばれるような人が住んでいるのかすら怪しいかもしれません。
すみのわが始まった東京都墨田区は、人口およそ28万人。自転車で30分も走れば端から端までたどり着いてしまうほどの小さな町に、これだけたくさんの人が肩を寄せ合って住んでいます。となれば、おもしろい人やすごい経歴や技術を持った人がそこら中に住んでいるのは事実で、極端な話マンションの隣の部屋にだっている可能性があります。そのような環境なら、クリエイターは選び放題なんじゃないかと思われるかもしれません。しかし、人口が多いからといっても、そう簡単に人と人が繋がれるわけはなく、出会うには何かしらのきっかけが必要です。
2013年に、墨田区に住んでいるもしくは働いているクリエイターたちが集まり「まちの課題にクリエイターの力を。」をキャッチコピーとして、まちの課題にプロとして向き合う集団が発足されました。これをきっかけに、まちのことを熟知したクリエイターたちが、ただ住むだけだった自分の町の課題を自分事として捉え、行政主導でも民間企業でもなく、個人単位で自分たちが住む町を良くしようという意識の人が増えていき、町の意識が変わっていきました。
そのため、この地域でももともと地域連携があったわけでは決してなく、地域を良くしたいと考える人が一人、二人、三人と少しずつ増えていき、それらが集まって生み出された取り組みの一つが「すみのわ」です。
今回のすみのわ展では、福祉作業所で働く方々が地元クリエイターと一緒に作った商品の他に、この地域にいるクリエイターたちの作品も一部展示させていただきました。
イラストレーターやグラフィックデザイナーはもちろん、タロット作家、テキスタイルデザイナー、プロダクトデザイナー、映像作家、アニメーション作家、人形雑貨作家、議員秘書など、この町ではなかなか出会うことのない多種多様なクリエイターの作品が届きましたので、アートに触れる機会としても展示ご覧になっていただけたらと思います。